アカイトリ
「お前に名をやる」


颯太はそう告げて女から身体を離すと、顎に手をあてて唸る。



「朱い鳥か…。神から怒りを買った伝説の神の鳥…」



呟いた颯太の言葉を聞き、女が空気も揺るがさずに颯太の両肩を掴むと、床に思いきり叩きつけた。



「何がわかる!お前のようなただの人間に…!勝手なことを言うな!」



深紅の瞳に激しい怒りと激情が渦巻き、颯太の髪を揺らした。



「…俺がなぜ自害できないことを知っていたか、教えてやる」



そう言うと、颯太は身体を反転させて女に馬乗りになった。



「俺が、碧い鳥の末裔だからだ」



女は思わず口を開いた。

颯太がその唇に、また唇を重ねてくる。



「驚いたか?俺の始祖はかつて、碧い鳥の一族だった女を捕らえ、愛でて、孕ませた。俺は始祖と同じことをしようとしているんだぞ」



「…この下衆が!!!」



腕に力を込めるも、押さえ込まれた両腕はぴくりともしない。



「お前に名をやる。お前は…天花(テンカ)だ」



――女は…天花は唇を噛み締めた。
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