ともだちのつくりかた。
ざくり、とスコップを振り下ろす。

穴はもう僕の腰の高さまで深くなっていた。

穴を掘りながら、この儀式について思いを馳せた。

最初にこれを思いついた人間は、一体何を考えていたのだろうか。

もしかしたら、あの少女のように、寂しさにとり憑かれたのかもしれない。

誰にも相手をされないまま、犬に希望を持ったのかもしれない。

ずっと死なず、自分に付き従う、そんなものを、欲したのではないだろうか。

だとすれば、誰も彼もが寂しさの為に穴を掘っていたんじゃないだろうか。

自分の為に尽くしてくれる何かを造る為に、穴に埋めて、向かい合っていたんじゃないか。

それは、もしかしたら、誰も来ない森の奥だったんじゃないだろうか。

そんな情景が、思い浮かぶ。
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