シスター
「そっか。それじゃ仕方ないね」


確かに母親の言うとおりだ。
昨日、体調不良だって言ってたのもストレスや不安からだったのかも知れない。


納得するように、母親の真向かいの席に座った。


「お父さん、仕事見つかればいいね」


「大丈夫よ。お父さんあぁ見えて体力もあるし、鳶職なんかもいいんじゃない?」

「はぁ?東京にいた時はデスクワーク専門だったじゃん。私から見ればただの50手前のおじさんだよ」


っていうか
就職出来てもあと10年ちょっともすれば退職なのに。
 
そう考えたら物凄い時期に引っ越して来ちゃったな。


「あ、お母さん。私は学校どうすればいい?」

「…学校?」


よく考えたら私、転入手続きなんかしてないし
編入試験なんか受けてない。

それに普通引っ越したら新しい学校の下見に行くものじゃないの?


「この辺に学校なんかあったっけ?遠いのは嫌だな」


何せ山の中だし、世間とは全く隔離されたような場所だ。

自転車通学になってしまうだろう。


「……………。」

「お母さん?」



「あぁ、学校。あ…そうね」




お母さん…?

美佳子は見逃さなかった。

困惑したように瞳を動かす母の姿を。




「まぁ、まだいいじゃない。引っ越して早々に勉強することないじゃない…!」




お母さん?


「でも…」



お姉ちゃんは働きに出てるよ?



ごくごくとコーヒーを飲み干しマグカップを流しに浸した。








何か、お母さん昨日から変だ。

普段はいつもの優しいお母さんなのに、たまに全然知らない人に見えてしまう。

私、何か変な事言ったかな?


「さぁ!さっさと残りの荷物を解いちゃいましょう!美佳子の部屋も決めないとね」


シンクで俯いてた母だが、一転したのような明るい声。


そう言えば私の荷物はまだ段ボールの中で全然片づいてない。


けど、なんだろう?
お母さん、何か隠してる。
まるで無理矢理明るくしてるように見える。





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