意地っぱりなお姫様


「…んじゃ、舞…教室戻るから…」

「あ、あぁ……」



俯きながら教室へと戻る私。


はぁああ……。

昨日、お兄ちゃんからヒデの好きな人を聞いたあと、自分の部屋で思いっきり泣いちゃったんだよね。

それでこの顔……。

フッ……悲惨。



ドンッ



いったーーーっ!



俯いて歩いていたせいか人とぶつかってしまった。



「あ…すみません、大丈夫?……て、李亜?」



鼻を押さえながら顔を上げるとそこには一番会いたくないあの人の顔…。



「ヒデ!?」

「うわっ…鼻赤いよ…保健室行こうか?」



ヒデが鼻を押さえていた私の手をとって覗き込んでくる。

だーかーら、顔近いって!



「おーい、ヒデヨシ!次、体育だぞー」

「あ、ヒデヨシまさか泣かしたのー?」



教室から出てきた男子がヒデをからかう。



「俺の名前はヒデキチだからー!泣かしてねぇから!」



ヒデが笑って男子に言う。



またからかわれてる…。

昔っから、からかわれる性格してんのよね。
でも、全然怒らない。


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