意地っぱりなお姫様
「李亜、大丈夫?」
ヒデが心配そうにまた顔を覗いてくる。
「大丈夫よ、ほんとちゃんと前見て歩きなさいよ」
「よかった、ほんとごめんね?」
ヒデは本当に申し訳なさそうにして私に謝った。
いや…私だってヒデに言えたもんじゃない。
だって下見て歩いてたし…。
ほんと情けない…。
深い溜息をついて教室へと入る。
席に座った私は鞄から体操服を取り出した。
「李亜、放課後見に行くわよ」
「へ?」
前の席にいた舞が私の机の前にバンッと手を置く。
「野球部のマネージャー」
ええええ。
マジですか!?
「見に行くの!?」
「気にならないの!佐藤君の好きな子がどんな子か!」
「いや…気になるけど…」
「だったらつべこべ言わず、見に行くのよ!」
「は…はい……」
舞の気迫に負けて私は首を縦に振ってしまった。