意地っぱりなお姫様

「もう野球部終わったんじゃない?」

「そうみたいね……」



放課後になって私と舞は野球部のマネージャーを見るためにグランドの隅にしゃがんで野球部を観察していた。


ヒデが好きな愛ちゃんってどんな子だろう…。


やばい…緊張してきた……。



「ちょ、あれじゃない!?」



舞が指差す方向を見る。
そこにはヒデにお茶を渡しているジャージのちっちゃな女の子。



「あれが……」



小柄で守ってあげたくなるような可愛い女の子。



「あれかな……可愛いわね…」



ううう…。


泣きそう。



自分とはかけ離れている女の子を見て泣きそうになる。



「舞…いいよ…帰ろう……」

「ちょ、ちょっと李亜!?」



私は重い腰を上げて帰ろうとする。




ドンッ



いったーー!!




本日2回目。
今日は人にぶつかることが多いなー。
鼻もげちゃうじゃんか。



「あ、ごめんねー大丈夫?」



痛い鼻を押さえて顔を上げるとそこには先輩と思われる男子が立っていた。



「あ、大丈夫です。気にしないでください」



ちょっと涙目だったせいか、ポロッと涙が頬を伝った。



「え!?もしかして泣いてる!?」



先輩が慌てたように私の顔を覗く。


あー…今は誰とも会いたくない!
ほっといてー!


私は先輩を無視して走って校門へと向かった。

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