意地っぱりなお姫様


まさか、ここでヒデの話題が出ると思ってなかった私は驚いた声を上げた。
お兄ちゃんはニヤッと笑って『どうなの?』って聞き返してくる。



「……聞かせてくれるんだったら聞きたいけど」



嘘……。

本当は聞きたくて聞きたくて仕方ない。


私は冷静を装って、ワークを鞄になおす。

さっきから黙っているお兄ちゃん。


ちょっと言うんなら早く言いなさいよ!



「……1年の愛ちゃん…だって」



誰よそれ……。

てか、1年って年下?



「野球部のマネージャーだよ」



あぁ……。
マネージャーね…。


もう、なんていうか…。



ヘコむ……。




「ま、まぁ、気にすんなよ!まだ愛ちゃんがヒデを好きだって決まったわけじゃないしな!」



私のただならぬ落ち込みように焦ったのか、お兄ちゃんには珍しく励ましてくれてる。



愛ちゃんってどんな子だろう……。

ヒデ年下が好きなんだ…。
あーあ…長い長い片想いが……。


自分でもなんでこんなにヒデの好きな人が知りたかったんだろう。
きっと心のどこかで少し期待してたんだろうなー…。



こんなんだったら聞くんじゃなかった。



後ろでお兄ちゃんが何か言っていたけど、今の私には聞こえない。
私はトボトボと二階の自分の部屋に上がっていった。


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