週末の薬指
「落ち着いたか?」

「うん……ごめんね」

「いや、いいんだ。花緒が落ち着くまでこうしてるから大丈夫だ」

パーティーの行われていた会場では、ホテルの人たちが撤収作業を始めていて、片隅にいるとはいえ、作業の妨げになっているのは間違いない。

夏弥の胸の中に包まれて泣いている私の事を怪訝そうに視線を送る人もいる。

「夏弥、おばあちゃんは?」

ふと気づいて顔をあげると、優しい笑顔の夏弥の視線に気持ちが落ち着くのを感じる。

「『今日は瀬尾さんの部屋に連れて帰っていいよ。話はゆっくり今度しよう』って言って帰ったよ。
シュンペーがタクシーで送って行ったと思う」

「あ、そうなんだ、シュンペーが……」

単なる後輩だと思っていたけれど、今ではもう私の人生に絡み合った大切な人となったシュンペーを思い出して複雑な気持ちになる。

これまでだって、他の同僚よりも私と近い距離にいて親しさだって格別にあった彼が、私の従兄弟だったなんて。
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