週末の薬指
「ん……っ、瀬尾さん……」

驚いて、思わず呟いた私の唇を割って、瀬尾さんの舌が差し入れられた。
慣れたように動く瀬尾さんの舌から逃げようと、顔を背けようとしても、その瞬間に抱え込まれた後頭部を固定されて逃げられない。

いつの間にか私の腰に回された手にぐっと引き寄せられて体全部が瀬尾さんに支配されている。

「あ……せ……おさん……」

何度も何度も深く差し入れられる舌の動きには優しさも感じられて、思うがままに堪能する瀬尾さんには私を抱く力を緩める気配もなく。

与えられるキスを必死で受け止めていると、次第に私の気持ちも心地よいものになってきた。

キスなんて、初めてじゃないのに、こんなに激しく求められたことは初めてだ。

恋人以外の男性とのキスが、こんなにどきどきするもので、こんなに温かく感じるものだと知って。

自分がいけない事をしているような背徳感。

それすら心地よく感じて。
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