一生忘れられない恋…

新しい毎日

『うーん、今日もいい天気。暑くなりそうだなぁー』
今日も、一日が始まった。

4月。
青空が眩しい位に晴れた朝、私は女子寮の自転車置き場から出て来て
サドルにまたがりながら、空を見上げて呟いた。

私の名前は、畑野彩香。18歳。

私はこの4月から、都内の女子短大に通い始めた。
都内の短大ってゆっても、いわゆる女子大生雑誌に出てくるような有名な
学校じゃない。
かなり偏差値も低い無名な学校なのだけど。

それでも、いーのだ。
私は、ただトウキョウで、ジョシダイセイをやってみたかっただけなのだから。
だから、大学部もある学校なのに、短大を選んだ。
4年も『学生』という不安定な身分でいるのが怖かったのだ。
私は、早く東京で何者かになりたかった。
なんでもいいケド、ちゃんと東京で生きる意味のある人になりたかった。


この学校は、学びたい学科だから選んだ訳じゃない。
高校時代、進路や将来についてしっかり考える事も無かった私には、
ここしか入れそうな所が見つからなかった。

それでも入ったからには、通わなきゃいけない。
一年生の朝は早い。
毎日1限からしっかり授業があるので、朝8時頃には部屋を出る。

私が住む女子寮は、学校の寮じゃなくて、いわゆる学生会館のようなモノだった。
色んな学校の女子学生達が入る、管理のしっかりしたマンションってところか。

事実1人部屋だし、他の学生達とコミュニケーションを図るような行事もなし。
本当は、完璧に普通のアパートで1人暮らしがしたかったケド、
さすがにそこまで親を納得させる事は出来なかった。
東京に出してやる交換条件として、この女子寮に入る事が親との約束だった。


通い始めた短大は、寮から自転車で20分ちょい位の場所にあった。
駅からかなり離れた不便な場所にある学校なので、自転車で頑張って通う事にした。

女しかいないキャンパスは、かなりのんびりしていて、平和だった。
高校まで共学で過ごした私は、憧れていた女子大生ライフとなんか違うなぁ~、
と思いながら、新しい毎日を過ごし始めた。
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