二人の距離。



「あっ、次、俺だ。」


そう呟いて橘くんは椅子から立った。

立っただけなのに、女子から黄色い歓声が起こる。


「あ、橘陽介です。楽しいクラスに出来たらと思います。以上。」

「か、彼女いますか〜っ?!」


橘くんは座ろうとするけど、呼び止められて笑いながら答える。


「彼女はいないけど、憧れの人がいます。」

「……あ、うん…ありがとう…。」


笑顔で答えられて、女の子の方がどうしたらいいか分からない感じだった。

すると、それを見ていた先生が


「カッコイイって罪ねぇ…。」


と頬に手を置きながら呟くと、橘くんは「何言ってるんですか」と苦笑ながら椅子に座った。


「じゃ、はい次〜。」


最初はハキハキしていた自己紹介も、最後の方になるとぐだぐだになるから、出席番号最後の方は嫌だ…なんて思う。



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