略奪愛の結末
「写真を撮りに行きますね。」

担当の人がそう言って案内してくれた部屋に
篤朗の両親とスーツの卓朗が待っていた。

「可愛いわ~~お人形さんみたい~~」

ママが手をたたく。

うれしかった 今日は私が主役だもの。
篤朗を見上げる。

篤朗は 窓の方を眺めている。

「あれ?おねえちゃんは?」

「今 来ると思うけど ちょっと時間かかってるの。
今日は混んでるみたいだから……
私は髪の毛が短いから簡単だったんだけど
メグちゃんはアップにしてくると思うから
ちょっと時間がずれてしまったみたい。」

カメラマンの指示に従って動いていると

「すみません~~。」

息を切らした姉の声。

「あら~~~素敵だわ~~~
やっぱりその柄 メグちゃんによく似合う!!」

落ち着いた紺色の着物の足元に
美しい色の柄がちりばめられている。
そして何より その着物を引き立たせているのは
姉の清楚な美しさだった。

私も思わず見とれてしまって ハッとして
篤朗を見る。


篤朗の姉を見る視線は やはり大きな嫉妬心を呼び起こす。

ムカつく・・・・
そんな目で もう姉を見るのやめて

そう叫びそうだった。

「マリ すごく素敵よ……。」

私の花嫁姿に目を潤ませて姉が背中を押してくれた。


憧れて だけどいつも足元にも及ばない私だったけど
姉に勝ったんだもの……。

「篤朗に一杯幸せにしてもらうね。」
また 毒を吐く・・・・。

私は 逸見 マリ になった。
人生の勝者になって有頂天だった・・・・・。

篤朗は簡単に自分のものになるって そう思っていたから。
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