略奪愛の結末
二人の自分
幸せが指の間からこぼれ落ちるっていうのは
こんな人間のことを言うんだろう。

マリのウエディングドレスをすがたを見て
今夜はさらに気持ちが落ち込んだ。

そのドレス姿は 自分だったのかと思うと
自分がみじめでたまらない。


本当は本当は
マリをひっぱたいて 二度とあの顔を見たくない
そんな気持ちの方が大きくなっているのは

私が篤朗をどうしようもなく愛してるから……。


篤朗を失ってしまった
それも妹という一番身近な存在にもっていかれた

マリが妹であることが私にとっての
最高の罰。


こんなはずじゃなかったのに
マリの気持ちには 本当は気づいていた。

なのに…気づかないフリをして
篤朗と結ばれた私への笑っちゃうくらいの
重い罰だった。

マリのために いろんなことを我慢してきた。
たくさんのものを失ってきた・・・・。
見かけはそれを美談にしてる自分
だけどその美談も
やりきれないときがたくさんあって……
その想いは誰にも言えずにいた。


いいおねえちゃん
妹想い

そう そのうわべだけの自分が
一人歩きをして
本当の自分を誰にも見せることができなかった。


そのストレスが
マリが篤朗に恋してることを知っていたのに
自分のものにしたっていう
心の中だけでの勝利宣言だった。


今までマリのために諦めてきた人生で
勝利宣言は最高に嬉しかったんだ。
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