略奪愛の結末
私の悪が目覚める
篤朗と離れてからも
私はだいたい毎日 篤朗にメールをした。
篤朗からはすぐには返信ってわけではなかったけど
それでも 遅れてごめん~なんていう
メールがかえってきて
会いたくてたまらなかった。

数人に告白されたけど
「年上の 恋人がいるの。」
刺激的な嘘をつく。

そのたびに私はどんどん嘘の世界にはまりこんだ。

見学旅行先が東京に一泊するというので
篤朗にメールをする。

残念ながら出張でチャンスを逃して
がっかりしていたけど

羽田で偶然 篤朗に再会したときは
私と篤朗は絶対に運命だって思った。

東京について空港で並んで
ボーっと人を見ていた。

「あ・・・・・・。」

目を疑った。

グレーのスーツにスーツケースを持った
篤朗が近づいてきた。
思わず立ち上がって 駆け寄る。

みんなの目なんか気にしてられない。

「篤朗!!」

篤朗は私に気づいて すごく驚いた顔をした。

「今 着いたの!!」

「そうなんだ。マリの学校だったんだ。
修学旅行生だなって見てたから。」

「本当に出張なんだ。ずらされたのかと思った。」

篤朗が一瞬困った顔になった。

「悪いな。でもこんなとこで会えるなんて
びっくりしたよ。マリ 大人になったな。」

その言葉だけで十分だった。
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