略奪愛の結末
「篤朗が行ってる間に 飛勇に話すわ。」

「大丈夫か?」

「小さいけどきっとわかってくれる。
ううんわかってもらわなきゃ。きっと…私のことは
忘れてしまうから…これからの飛勇のためにも……。」

また飛勇がゴールを決めた。

笑顔で手を振る飛勇に
二人で手を振りかえす。

「私のこと忘れちゃうんだな…。
私も両親のことあんまり覚えていないの。
飛勇くらい…だった……。私にはおねえちゃんがいたから
寂しくなかったのかもしれない…けど……。
こうやって思い出しても…かすかな記憶しか残らないなら
寂しいけど……私は悲しいけど
でもよかった……。」

俺はその言葉にもうたまらなく泣きそうになった。

「篤朗ごめんね…。私のわがままで…
飛勇を産んで 篤朗をおねえちゃんから奪ったのに
飛勇だけ残して……。」

独り言のようにマリは呟き続ける。

「ずっと一緒にいたら…
きっといつか篤朗に愛されるって…そう思ってたのに
時間がないなんて……情けないな…。」

かける言葉が見つからなくて俺は
まっさおな秋の空を見つめた。

色づき始めた木々

「これはね…神様が怒ってたんだよ…。
自分勝手に生きてきて…回りの人を泣かせても
好きなように生きることにこだわった私への罰ね。」


まっしろないわし雲

「来年はここにいられるのかな…。」

そう言って笑った。
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