略奪愛の結末
心を正す
姉がまだ 篤朗に対して気持ちが残っているのは
嫉妬や憎悪を超えて 人間として感じた。

私が引き裂いた姉の幸せだった。

病気になって 残していく飛勇のことと
そして 姉のことばかりを考えていた。

両親亡き後 姉が私を親でもないのに
愛してくれた感謝は 今になってわかる。

親になり 飛勇を見ていると
よくも 姉というだけで 妹をこれだけ大切に
してくれた…感謝しなければいけない人を

悲しませ 運命を狂わせてしまったことを恥じた。


病気になる前から 飛勇をかえして
私は姉の愛を 痛いほど感じさせられた。


今さら

ほんとに今さら


勝手なこと言うなって 二人は怒るだろうけど……


姉が向ける篤朗への視線は
女なら誰でもわかる 恋する女だった。


悔しいけど 篤朗も全く同じだった。

二人は決して 視線をからませることはない。
私のために


多分 二人はお互いに 冷静に行動しようとしているんだろう。

残された時間で 私のするべきことは
潔く身を引くこと


そして 姉に償うこと


小さい飛勇に 私の余命を理解してもらうこと


あの夜 両親の墓の前で

「マリが死ぬとき 迎えに来てくれる?
悪い子だったから・・・地獄へ連れていかれないようにして。」

そう語りかけた。

そう 何でも今さら 今さらだけど

一人になるときが来たんだ・・・・・。
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