海宝堂〜海の皇女〜
「なんとも、まだ幼く、未熟な皇女…
この私が立派な皇女に生まれ変わらせて差し上げましょう。」

ヌルドは高らかに笑うと、シーファをマントの中に隠した。

「待てぇっ!」

ガルが叫ぶ。
ヌルドは背を向け、軽く鼻で笑うと言った。

「とっとと地上へ戻るといい。
皇女にお前らは必要ない。」

ヌルドが部屋から姿を消し、アーターとビュウがそれに続くのを、拳を握りしめ、見送った…。

アーターにやられたダメージは大きく、身体中が痛んだ。
しかし、あの時、言葉を続けなかったシーファの顔が心を刺す。その方がもっと痛かった。

「――っくそぉっ!」

ガルは拳を床に叩きつけた。
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