美咲と樹の日記。
タイトル未編集
**...苦手だ。この女、俺の嫌いな女ゾーンにがっつり入ってやがるぞ。
①媚びてくる、②馴れ馴れしい、そしてなにより③香水のつけすぎ。
何種類ブレンドしてどんだけの量つけてんだ?
俺はすれ違った時にふわっと香るくらいが好きなんだ。
「いっちゃん♥」
「...なんだよ、赤坂」
赤坂千夏。
今やトップ女優。演技はそんじょそこらの女優と比べものにならないし、
容姿も抜群だ、と言われている。
まあ、俺はまったくもってタイプではないが。
さっきも言ったとおり、コイツは俺の中の嫌いな女ゾーンにガッツリ
入っている。
これまでにないくらい入っている。
「今夜、ディナー一緒にどう?」
「いや、遠慮しておくよ...」
「どおしてえっ!」
うるさいよ...。
俺は、お前が苦手なんだ。
悪いが、全てにおいてお前は俺の中でダメな女なんだ...。
「じゃあ、今度あたしん家来てよ。いっちゃんの好きな猫いるし」
「いいって...。ほら、誤解されても困るじゃんか。熱愛、とかさぁ...」
「別にあたしはいっちゃんとなら熱愛報道されてもいいもん!」
「いや、俺はよくねえよ」
磯野樹((いそのいつき))、20歳。
歌って踊ってファンを楽しませる、俗に言う((アイドル))だ。
俺は((Switch))という5人組グループに所属している。
リーダーの福原龍也、坂上恭平、豊川涼、波田野英太、そして俺、磯野樹。
「磯野さん!車、到着しました!」
「わかった。みなさん、お疲れさまでした」
「いっちゃん!連絡先だけでも...」
「悪い。メンバー待たせてるんだ。じゃあな。お疲れ」
めんどくさい女...。
本当に俺はこういう女が苦手なんだ。
構わないで欲しい。
「これだよ...」
テレビ局を出るときに目に付いたポスター。
((赤坂千夏、歌手デビュー決定!))
今の芸能界は売れてきた女優や俳優はすぐに歌手デビュー。
そうすりゃ売れるとでも思ってるのか。
赤坂が歌手デビューしたら音楽番組まで一緒に出演する可能性が
出てくるじゃないか...。

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