純情♡SWEETIE
新館の渡り廊下のベンチがあたしたちの指定席。

「つっくんのおべんと今日もすごい。」

つっくんのお弁当はキャラ弁。今日は青空にサッカ-ボ-ル。

お花のウインナ鳥さんのうずら卵。力作だ。

「ゲ-青い弁当食欲なくなる。」

「青いでんぷ初めて見た。手作りだねきっと。愛だよ愛。」

「普通の弁当が食べたい。毬乃いい？」

「いいよ。」

つっくんが、

ついっとお箸を操って卵焼きを掴んでぱくんっと食べた。

「うまい！！」

お箸の持ち方がとっても綺麗。

つっくんの長いまつげが揺れる。

この瞬間がすごく好き。

あたしのお弁当は兄貴のお嫁さんかずみちゃんが作ってくれる。

かずみちゃんは近くのイタリアンレストランで働いてるけど、

４才の甥っ子の幸（こう）くんのお弁当と一緒に作って

保育園に行く途中に届けてくれる。

でもね、卵焼きだけはあたしが作ってるの。

つっくんの一番好きなものだから。
< 3 / 170 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop