機械仕掛けの心の行方
子供の頃とは違う、白髪だらけの頭。

私の介助なしではろくに動けなくなった体。

それでも彼は、笑う。

子供の頃と変わらぬ顔で。

マスターに似た、その顔で。

その姿を見るたび、何故だかとても物悲しい気持ちが生まれた。

自分の知っている者が、弱っていく。

けれど自分にできることは何もない。

その、何と無力なことか。
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