機械仕掛けの心の行方



そうして季節は流れて行く。



思えば、私がマスターとこのような雑談をしたのは、数える程度しかなかった。

彼はいつも仕事に没頭していて、私から話し掛けるのははばかられた。

頑張るなと言っていたのは自分なのに、マスターはずっと頑張っていた。

彼の言葉と行動は、いつもどこか矛盾していて、合理的ではなかった。

何が彼をそうさせていたのだろう。

もっと多くの言葉を交わしていれば、私はもう少し何かを知り得たのだろうか。

しかし、時間はただ確実に過ぎるだけで、戻りはしない。

ただただ進んでいくだけだ。

マスターが言っていたように、無常に。



私が起動してから、ちょうど一年が経った。


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