そんな簡単に、言うこと聞いてくれないでしょ?
「キスしてもよかったら、顔上げてください」

「わっ、私、別に! キスしたいとか思ったこともないし!」

 流れた髪の毛を耳にかけるつもりで左手を自分の顔の近くにもっていくと、その左腕を大きな手でとらえられた。

 体をシートに押し付けられ、更に距離が縮まる。

「じゃあ今日はこれだけで」

 言いながら、頬に柔らかなキス。無断の強引なキスに驚いて、右手をすぐその頬に当て顔を上げた。

「引っかかった」
 
 彼の笑う口が見えたなと思ったら、唇と唇が優しく触れ合っていた。
 
 触れるだけ触れて満足したのか、彼はすぐに手を離して引く。
< 3 / 5 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop