そんな簡単に、言うこと聞いてくれないでしょ?
「君…何?」

 こんなことくらいで攻めては、こっちが経験不足だと思われそうと思いながらも聞いた。

「好きだからに決まってるでしょ」

 前を見たまま答える彼に、どう対処すれば分からなくて、

「…決まってって…。とにかく、キスだけしたいなら私はやめて」

 だけ、という言葉を意識してしまう自分を制しながら、はっきりと言った。

「そんなつもりじゃないから、徐々に落としますよ」

 軽々しく吐きながらギアをバックに入れる姿に私は眉間に皴を寄せたが、彼は私が座るシートの肩に手を乗せ、駐車スペースから出はじめた。

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