絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅳ
「いいよ、家でいようよ……そうだね……、一週間分食材買って、新東京マンションで、ずーっと過ごそう!! 過ごそう、過ごそう!!」
「……お好きに」
「えー!? 言い出したの自分じゃん!! えー、来週かあ……、ってもう今日水曜だよー!! 寝る間も惜しんで考えとくね!! どうしよどうしよ……何がしたいかなあ……」
「……」
 その後はなんとか普通に喋ってくれる。まあ、良かった。
 最後のデザートももちろん予定通り、運ばれて来る。
「ねえ、今日は……」
 割り勘にしない?? といおうとして、やめた。それならこっちが全額出すべきではないのか??
「私が出そうか??」
「……好きにするがいい」
 って、まさかこんなに簡単に引くと思ってなかったんですけど!!
「……一応7万円持って来たんだよねー」
 巽はこちらをちらと睨んだ後、
「金もないのに気を遣うな」
「ち、ちがー……ちがー……」
 う、とは言い切れない。
「……この前四対さんと話しててね……私、船場吉兆に誘ったの。ちょっと込み入った話がしたくて……。あの、佐伯に誰か紹介してあげてって。けどまあ、その話はすぐに「断る」って言われちゃったんだけどね。
 でぇ……そう、誘ったせいで、割り勘って言われてね。私千円しか持ってなかったの。だから……そういう、相手にばっか頼るのはやめようって思ったの」
「で?」
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