絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅳ
「そうかもな」
 巽はこちらを睨んで言った。
「とにかく、既にエレクトロニクスの出番はないだろう。その証拠に俺が後3年契約を延ばしている」
「えっ、もう契約済!?」
「一昨日、か。この休みに入る前に伸ばした。その後は四対だろう。もう一度5年契約にするところを3年に抑えてやった。俺の好意でな」
 巽はにやりと笑ったが、
「お礼が怖いよね……」
 香月は目を逸らした。
「俺は四対のことは信用している。いるだけで礼になるな、今はな」
「え、へー……」
 多分、四対さんはそこまであなたを好いていない気もしますが……それは言わないでおこう。
「一番大物なのは、お前の兄だ」
「……うわっ、そうだね……やっぱりあの人お金持ちだったんだー。食事するときは妙にケチるのに」
「あの土地は、持っているだけで何世代も食いつなげる。お前も、頭さえあれば、俺を手駒にできただろうな」

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