秘密の素顔【密フェチ】


「座って」


資料がたくさんならんだ倉庫に入ると、課長は私に床へ座るように指示した。

正座を崩した格好で座ると、スカートから出た足が床のタイルに触れて冷たかった。それでも私は課長の指示に従う。

それは彼が怖いからではなく、皆には秘密の関係だから。


「どうぞ」


私は太腿をぽんぽんと叩いて手招きした。課長はフッと口許を緩め、ノンフレームの眼鏡を外した。


「少しだけ、寝かせてくれ」


そう言って私に眼鏡を手渡し、ゆっくりと太腿に頭を乗せた。

課長の乱れた髪がスカートの布越しに足をくすぐる。


「この枕が一番よく眠れる」


課長は穏やかに微笑んだ。

それは神経質な眼鏡の奥に潜む、柔らかな笑顔で――私だけが知っている、秘密の素顔だった。


「課長、絶対私以外の前で眼鏡を取っちゃダメですよ」

「なんでだよ」


苦笑する顔さえも優しくて、ますます課長の素顔を自分だけのものにしたくなった。





【fin】

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