デュッセルドルフの針金師たち後編
第13章再びバイエルン

マメタン医者にかかる

なつかしのアウグスブルクだ。おと年ここで
車の車輪が取れたっけ。町なかは石畳が多く
いい場所がたくさんある。

「グリュースゴッド!」(まいど)
「ビーダーシャウエン!」(さいなら)

の南ドイツだ。ポリスの制服も紺になったり
緑になったりと違ってくる。バイエルンは緑
だ。おまわりさんもおう揚で、

「ハーイ!ヤパーナー!」
と通り過ぎていく。これはなかなかいいぞ。
通りのど真ん中に出してみた。

数10本売れたところでマメタンの顔を見る。
様子がおかしい。顔真っ青で脂汗だ。

「だいじょうぶか?」
「おなかがいたいの・・・」

といって倒れこんだ。この時ばかりは、

「よし医者に行こう。何ぼかかってもいい。
オオツキさん、あとよろしく」

とほんとにそう思って内科医を探した。
運良く近くで産婦人科内科が見つかった。
日本と違って何か邸宅という感じだ。

マメタンを抱きかかえるようにして診察室
へ運ぶ。入ったきりなかなか出てこない。
なんぼかかるんやろうか?

1時間以上かかってやっと医者に付き添わ
れてマメタンが出てきた。

「かなりお疲れのようで、急性胃炎だと思
われます。薬を差し上げますからゆっくり
一晩お休みになれば大丈夫だと思います」

「ビーフィールコスト?」(で、いくら?)
「ナイン、カイネメア」(いりません)
「ほんま?」
「旅の方だから当然です。この薬を差し上げます」

やったー!ドイツ万歳!マメタンと小躍りして
オサムは心の底から喜んだ。
< 22 / 61 >

この作品をシェア

pagetop