デュッセルドルフの針金師たち後編

自動小銃向けられる

オリンピックが始まった。どこに行っても
その中継を皆で見ている。この2週間は仕事
になりそうもない。ミュンヘンへ行ってみるか、

ハイデルベルクでチャップリンの映画を見た後
オサムはそう決めた。アウトバーンに乗る。
うん?何か様子がおかしい。ラジオをつける。

何かあったんだ。いつもは流れている音楽番組
がなく、一方的に同じことばかり繰り返している。
アナウンサーの声が興奮している。ゲリラ、アラブ、

オリンピアード所々分かるオリンピック中継はない。
『マメタン、戻ろうか?』
しかしもう遅かった。

うん?と入り口で感じたのは、兵隊。しかも自動小銃
を引き金に手をかけてささげもっている姿、もちろん
ヘルメットをかぶっている。臨戦態勢の緊張感がある。

これは絶対に尋常ではない。シュツットガルトで出よう。
さあ出口だ。自動小銃が何人か見える。やばいな、この
荷物が没収されたらと思うと引き込み線から思わず、

再び本線に戻ってしまった。次、アウグスブルク、やっぱ
り駄目だ、諦めよう。アウトバーンはミュンヘンで終点だ。
マメタンとオサムは目で合図をして出口へゆっくりと向かった。
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