怪談短編集
コンビニにも、誰もいない。動くものは何もいない。私を除いて。
そのときだった。
すすり泣く声が聞こえたのは。
私は、コンビニの裏—つまりは泣き声が聞こえたところへ向かった。
「どうしたの?」
泣いていたのは、小さな女の子だった。幼稚園年長か、小一か。そのくらいの女の子は目を擦りながら振り向いた。
「お母さんがいなくなっちゃった」
私は、女の子の肩を優しくなでた。
「皆、いなくなっちゃった」
彼女は言った。何て声を掛ければいいのだろうか。