怪談短編集
店の前に、見張りはいなかった。手動ドアのノブには厳重にチェーンが巻きつけられ、大きな南京錠で施錠されている。
「しまったなあ。何か持ってこれば良かった」
急いだせいで、スマホ以外何ももっていない。他の入口を探すしかないだろう。
サブリナは、店の裏にまわった。思った通り、裏口がある。こっちはチェーンなどが何一つない。ただ、補助錠はしてあるのだろう。押しても引いても開かない。
初歩的だが、サブリナはポニーテールに差し込んだアメリカピンを引き抜いた。
それを鍵穴に差し込み、動かす。カシャン、という音がして、ドアを引くと、開いた。
そのまま、中に入る。階段がドアの前にあった。
階段に足をかけ、下りる。
「閉じ込められた」
慎重に、下りる。