怪談短編集


 夜、例の夢を見た。

 いつも通り、人形が足を掴んでいる。

「!」

 梨子は今まで、下を見ていたから、気付かなかった。階段の先に、絞首用ロープがあることに。

 嫌だ。上りたくない。

 だが、想いに反して人形が梨子の脚を持ち上げる。

「十三段目…」

 明日で、十四段目。梨子は怖くなった。

 十四段目が、この階段の最後だったからだ。




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