なりすまし
「ま、いっか」

俺はそろそろ母さんが帰ってくるだろうと、きちんとカレンダーを戻し一階のに下りた。


そう言えば、母さんが手帳ではなく小さなカレンダーに予定を記し始めたのは父さんの影響だったらしい。


まったく、変な両親を持ったものだ。


俺はソファに腰をかけるとテレビを点けてぼーっとそれを見ていた。

ゴールデンの時間帯だが、あまり興味深いものはやっていない。

民放でも見ようかとチャンネルを替えようとしたとき、家の電話が鳴った。


俺はゆっくり立ち上がると、発信者を確認した。

自分に関係のない相手からなら出ないことにしている。

しかし、今回は違った。


発信者は「吉井」だったのだ。






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