俺様彼氏の甘い罠
「 ・・・・ッうぅ・・ 」
あれから、どのくらい経ったのか。
ヒリヒリと痛む目からは
未だに涙が溢れ出して来て止まらない。
やっと会長から解放されたのは
午後の授業が始まるチャイムが
鳴った後だった。
会長の腕がそっと離れて、
なんとか力を振り絞って逃げるように
生徒会室を出て、ひたすら走って
気付いたら書庫に居た。
キスされたところが熱くて、
噛まれたところが痛くて、
袖で何度も拭って、
それなのに、自分が汚れた気がして
唇が切れて血が滲んでも
拭うことをやめなかった。
全身が痛い。
焼けるように熱い。
それ以上に、今にも心が壊れそうで
胸が張り裂けそうで。
無駄に冷静だったさっきまでの自分は
どこに行ったのか、今更になって
焦って、怖くなって、震える身体を
ぎゅっと両手で抱きしめた。