俺様彼氏の甘い罠
「 結花、後夜祭終わったら
裏門だからな! 」
「 もー・・・分かったってば 」
髪、おろしたんだね、って
撫でながら優しく微笑まれて
小さく頷いて返していたら、
結花ちゃんのお兄さんが
いつの間にか隣に居た。
しつこい、と追い払われて
お兄さんは裏門の方へ歩いて行った。
「 最後の学祭、最後の後夜祭って思うと
なんだかしんみりしちゃうね 」
薄暗いグラウンドに集まった生徒を
眺めながら結花ちゃんがそう呟いて
私も、少し寂しくなって・・・
「 ・・・結花ちゃん~・・・ 」
「 わっ!澪、泣かないでよ~? 」
泣きそうになって結花ちゃんの腕に
抱きつけば、苦笑しながら再度
頭を撫でられた。
高校生活もあと少し。
最後の学祭も終わってしまう。
大嫌いな勉強も、テストも、
最後だと思うとなんとなく
寂しく感じるのは不思議だなって
結花ちゃんと話していたら
”最後”の後夜祭が始まった。