風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~
「じゃあ、なぜ君は俺を避けてるんだ?」

「避けてなんかいませんよ!!
少し苦手だとは思ってますけど・・・・・・すみません。」

言ってしまったとばかりに、罰の悪そうな顔をする。

可愛いな。

彼女の困った顔さえ可愛いと思ってしまう俺は重症か?

「すまない、ちょっとからかい過ぎた。
今日はこれ以上追及しないから。」

今のところは嫌われていないだけ良しとするか。


「最近仕事の方はどうだ、変わりないか?」

話の矛先が変わって、明らかにホッとしている彼女の様子が伺える。


「そうですね、安曇さん・・・あっ、専務がいなくなって皆戸惑ってます。」

「安曇で問題ない、今まで通りで呼んでくれ。」

俺は設計部にいる頃、自分を役職で呼ばせていなかった。

だから、課長と呼ばれたことは殆ど無い。

よって、隣にいる彼女も例外ではない。



< 13 / 141 >

この作品をシェア

pagetop