風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~
私は全部吐き出してしまいたい衝動に駆られた。

新城美雪、彼女は私が会社で最も信頼する同期だ。

見た目は大人しくて清楚な感じだけど(実際にお金持ちのお嬢様なんだけど)、中身は全然違う。

言いたい事ははっきり言うし、人の好き嫌いも激しい。

だから、私と彼女は入社当初から意外と馬が合った。

彼女曰く、私と一緒なら繕う必要ないから楽なんだって。

それは私も一緒だ。

はっきり言ってくれる分、下手な小細工はしないとわかるから。

だから部署は違うけど、こうして一緒によく飲みに来る。

とは言え彼女、部署では大きな猫被ってるみたいだけど。


「何かあるなら吐き出した方がいいよ。話して楽になることだってあるんだから。」

まあ、確かにそれも一理ある。

話してみようかな。


「あのさ、・・・人を好きにならない方法ってある?」

「・・・は?」

彼女の目がキョトンとなった。

そりゃ、唐突にそんなこと言われたって意味分かんないか。


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