風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~
「だからね、私、その人のこと好きになりたくないの。
でも、事情があって会わない訳にはいかないから・・・。
なのに、会うたびに彼に惹かれていく自分がいる。
だからどうにかして、これ以上気持ちが大きくならない様にしなくちゃいけないのに!?
でもその方法が見つからない。
もう、なんとかして・・・。」

私は早口で一気に捲くし立てた。

まるで感情を吐き出すかの様に。

そして、机に突っ伏す。

もう、消えてなくなりたい・・・。

こんな私を見るのは美雪でも初めてだろう。

きっと呆れられてる。


「何かよく分からないけど、そもそも何でその人のこと好きになっちゃいけないの?」

私は机に突っ伏したままその問いに答えた。

「その人が私のこと、絶対に好きにならないから。
それと・・・、生きてる世界が天と地くらい違うから。」

「何よ、それ・・・。」

ううん、これが真実。

現実なんだよ。

「それって、社内の人間?」

美雪、さすが鋭い。

「うん・・・、でもそれ以上詳しい事今は言えない。」

「そう・・・。」

そう言って、彼女は黙ってしまった。

そして、何かを考え込むように上を向く。


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