おっさんとは呼ばせない!
俺の名前は佐々木徳光(ささきとくみつ)。
あと3日で30歳。


俺の背中に足…というか、全体重を乗せているのが、
妹の佐々木伊代(ささきいよ)。


「おにいも、あと3日で30歳か~。早いねぇ。」


妹は、俺の背中でくつろぎだし、座って雑誌を読んでいる。


早いって…。お前は母親か!


「ああ、早かったね。かーちゃんと親父がなんだか騒がしかった夜の数ヵ月後、お前ができたって言われて。お前が産まれて。もう15歳だもんな。」


「うわ!超生々しいんだけど!」


「俺、その騒がしかった日、聞き耳立ててたんだけど。」


「まじ?どんな感じだった?」


「お前にはまだ早い!」


俺は起き上がって、背中にいる妹を振り落とした。


「いった~。おにい!何すんの!」


「あ、早いって、俺が聞いたの、お前より年下だったか。」


ははは、と笑うと、妹は雑誌で俺の頭を殴って、自分の部屋に入った。


「おい!雑誌いらねーのか!」


殴られた部分を押さえながら、置き去りにされた雑誌を、勝手にパラパラと開く。


「今時の若い女の子はこんなもん見てんのかね。」


ふと、目に止まったページがあった。


「これは…。」


俺は、そのページをもくもくと見ていた。
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