アホ毛のアン【短編】
一歩踏み込み右手で居合い抜きのような手刀を放ちホイッスルを弾く。


ホイッスルに繋がれた紐が手首に通してあるせいでふっ飛びはしないが時間は稼げた。


そのまま右手を振り抜く勢いに乗せて左手の拳をヤツの顔面に叩き込む。


利き手ではないから威力はそれほどないが体勢を崩してやれた。


トドメだ!


ヤツは先ほどと同じように、己のこの先の運命を素早く把握したらしく命乞いをしようとしてきた。


「待ってくれ!見逃してくれたら世界の半分をや……」


が、最後まで言わせず全力の一撃を叩き込むと、ヤツは車に跳ねられたみたいにブッ飛び、壁にバウンドしてから地面に伸びた。


よし。これで悪は滅びた。


アンはスクーターにまたがりエンジンをかけた。


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