君色Diary
「七海はこれでも食べて、ケータイ握っといて。たぶん、そのうち……電話がかかってくるはずだから」


「電話?っていうか、ここ、飲食禁止…」


「バレなきゃ平気って言葉、知ってる?」


「…………」


…空くん、絶対、楽しんでる……。



空くんの言葉に首を傾げつつ、渡されたパンを見れば、空くんはにっこりと笑ってみせて。

あたしはじーっとパンを見つめれば、“ま、いっか!”と、それをほおばった。

すると、それと同時にケータイが震えて。



「ん……?電話?」


「あ、やっぱり七海にきたか。思ったより早かったな……」



もぐもぐと口を動かしながらケータイを見れば、それは葉月からで。


忘れ物でもしたのかな?

でも、空くんは電話がくるの、わかってたみたいだし……。


パンをゴクンと飲み込むと、「もしもし?」とケータイを耳に当てる。

それに空くんも耳を寄せてきて。



『……白崎、手伝ってくれ……』



聞こえてきたその声に、あたしと空くんは、思わず顔を見合わせた。


< 135 / 373 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop