君色Diary
『七海、急用できたの?気をつけて帰れよ』
花火大会のことには、触れないメール。
だけど、空くんの優しさがにじみ出ているメール。
あたしはそのメールを見ると、返事をすることなく、ケータイを閉じて。
「……優しく、しないで……」
空くんの優しいところが大好きだった。
でもそれも、今はただ、あたしの胸を締め付けるばかりで。
なにがなんだかわからないよ、空くん……。
こんなことなら、おとなしく図書室で待ってたらよかった。
あんな光景、見たくなかったよ……。
苦しい、よ……。
伏せた目には、涙がたまる。
でも、それを流すことはしたくなくて。
あたしはそっと髪留めに触れると、静かに空を見上げた。
輝く青空が、まぶしかった。