君色Diary
*第五章*

書けない日記


「37度5分か。だいぶマシになったね」



ピピッと、電子音が鳴り響けば、体温計をお兄ちゃんに渡す。

お兄ちゃんはそれを受け取ると、優しく笑ってあたしを見た。



「ホント、四日前はひどい雨だったのに、びしょ濡れで帰ってきたなんて聞いて、驚いたよ」


「ん……。ごめんね、心配かけて……」


「気にしなくていいよ。ほら、ちゃんと寝ておくこと」



お兄ちゃんはそう言うと、ぽんぽんっと頭をなでる。

あたしはそれに素直に従うと、モゾモゾと布団にもぐった。


土曜日に雨に打たれて帰ってきたあたしは、ものの見事に風邪を引いて。

日曜日に体がだるいと思えば、月曜日に発熱。

そのまま火曜日も高熱が続けば、今日、やっと熱がマシになったのだ。


もちろん、その間、学校には行ってなくて。


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