君色Diary
「そ、そりゃ……空くんが教えてくれるなら、あたしも見せるよ……?」



空くんを見つめて、呆気にとられながらそう答える。

空くんはそれに「ホントだな?」なんて確認してきて。

あたしはそんな空くんに驚きながらも、こくんと縦に頷いた。


花火大会から付き合い始めて数日。

その間、ずっとこのことを聞いてきたものの、空くんはずっと、「秘密」と言って、教えてくれなくて。


今まで全然教えてくれなかったのに……どうしたんだろ?


空くんはあたしに、イスに座るように促すと、イスごとあたしの方へと体を向ける。

それに少し緊張しながらも、聞き逃さないようにと空くんをジッと見つめて。



「俺が七海を好きになったのは……」


「う、うん……」



ドキドキと、胸が高鳴る。

少し、上体を前のめりにさせながら、耳をかたむけて。



「……気づいたら、好きになってた」


「……へ?」



そんな気の抜けた声が、図書室に響いた。



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