転校生は憧れの人



――……



「……よっしゃーーあ!」



それは、テスト明けの授業中。


ある1人の生徒の声が、突如教室中に反響した。


現在は、数学の時間。


そしてまた、運命のテスト返しの時だったりする。


しかもこの数学のテストが、返却されるラストのもののわけで。


私の目の前のその生徒――吉野くんは授業中にも関わらず、最後のテストを受け取るなり、拳を天に突き上げて雄叫びを上げたのだった。



「吉野、気持ちはわからんでもないが……少し慎め」


「す、すみません」



先生に咎められ、吉野くんは苦笑いを浮かべる。


……でもよかった。


あの様子だったら、欠点は免れたってことだよね!


ずっとずっと気がかりだっただけに、私は安堵の溜め息をついた。



「一ノ瀬」


「はい!」



先生に呼ばれて、はっとする。
 

私は気を引き締め、自らの解答を受け取った。



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