転校生は憧れの人
「梓? 聞いとんか」
「うん、聞いてるよ! ……ありがとう」
助けてくれて。それから、少しは気にしてくれていて。
ぽそりと呟くと、あたしは怜佑の腕にギュッと抱きついた。
……ちょっとくらい、積極的になってもいいよね?
「ばっ、梓! くっつくな!」
「ふふ、いいじゃん別にー」
驚く怜佑の声なんてお構いなしに、あたしはその腕を決して離さない。
やっぱりあたし、怜佑が好きだ。
いつも嫌みばっかりで、鈍すぎて正直ムカつくときもあるけど……。
それでも、今日みたいにたまに見せる優しい一面が、堪らなくあたしを夢中にさせるんだ。
「ほら、戻るよ?」
そう言うと、あたしは怜佑を引っ張ってなずな達のいる場所へと帰って行った。