転校生は憧れの人



「すごいよ梓ちゃん!」


「へ?」


「私にはそんな勇気ないなー」



目に入ったのは、きらきらと目を輝かせたなずなの姿。



「……怜佑、凄くかっこよかったんだよ? コイツにはお前等と喋っとる暇なんかないんやーって」


「へー! 何か、とっても素敵……。よかったね、梓ちゃん」


「はは、うん。たまたま通りかかってくれて、ホントによかった」



好きな人に助けてもらう……それ以上のことはないわけで。


あたしはそっと口角を上げる。


あんな体験、もうきっと出来ないもん。



「え? たまたまじゃないと思うよ?」



そんな時、なずなの口から洩れた一言に、あたしは目を丸くした。





< 239 / 309 >

この作品をシェア

pagetop