転校生は憧れの人
――……
「楽しかったー」
「また行きたいね!」
更衣を終えたあたし達は、荷物をまとめながら余韻に浸る。
こんなにも楽しんだのは、久々かもしれない。
それに、あんなにドキドキしたのも。
「あのね、なずな」
「ん?」
やっぱり、言わなきゃ。
なずなにだけは、本当のことを話したい。
あたしはぐっと拳を握りしめ、口を開いた。
「実は、さっきのことなんだけど……護衛とかそう言うのじゃなくて、あたしが勝手に怜佑に抱きついちゃったんだよね」
「え!?」
「知らない男の人に声かけられてたところを助けられて、ついキューンとしちゃってさ。くっついたのはいいものの、離れるのを忘れちゃって……」
話すなり、あたしは照れ隠しのような苦笑いを浮かべる。