転校生は憧れの人
「冗談やないわ。どこが楽しいねん。……っぐ、うげ、気持ち悪……」
「……」
そこには、顔面蒼白で口許に手をやる滝川くんと憐くんの姿が。
憐くんはというと、さっきから口を閉ざしたまま、ずっと俯いている。
余裕綽々だった筈の2人が、まさかこんなことになるなんて。ちょっと哀れなような、かわいいような。
私はちょっぴり笑いそうになったのを、ぐっとこらえた。
「アンタ達、ホント口だけなんだから」
そんな憐くん達の様子を見ていた梓ちゃんは、ぼそりと呟く。
呆れたその声は、想像以上に2人の胸にグサリと突き刺さったようだった。