転校生は憧れの人
何だかどうしようもなくて、私は窓の外に目をやる。
すると、もうすぐで頂上に着くことがわかった。
観覧車の頂上。
女の子なら誰でも憧れるシチュエーションが、不意に頭に浮かぶ。
……夢、半分叶っちゃうよ。
好きな人と2人だけで観覧車に乗る。そんな夢が、今叶おうとしているんだ。
こんなに幸せを味わってもいいんですか。
嬉しすぎて、心臓がキュッとなる。
徐に視線を戻すと、憐くんと目があって咄嗟に逸らした。
……やっぱりかっこいいよ、憐くん。
見た目もそうだけど、でも憐くんの良さはそれだけじゃないんだ。
私が彼を好きになった理由、私はそれを今でもはっきりと覚えている。
……あれは、私達が小学4年生の頃――。