さよならまでの時間

「ダメだよ。りんは俺のだから。」

えっ?!聡くん?

そう思って振り返ると、そこにはかすみ草の花束を持った聡くんがいた。

「聡くん・・・」

「りん、卒業おめでとう。」

そう言って花束を渡してくれた聡くんに、あたしは抱きついた。

「聡くん・・・ありがとう・・・」

「えっ?梨花ちゃん、彼氏いたの?」

「悪いな、りんは誰にも渡さないから・・・諦めろ!」

そう言って聡くんは、あたしを抱きしめたまま、その場を後にした。

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